SHINING SMILE 終章
「向こうで元気でやってるかね」
長野は屋上のフェンスに手をかけ、空を見上げた。
「ギターやって、あっちの人癒してんじゃねーの?」
俺も長野の横に立ち、空を見上げた。
真っ青に光る空。
その中で強く輝きを放つ太陽は、井ノ原の笑顔に似ていた。
「じゃあそろそろ、診察の時間になるから、行くね」
すると長野はそう言って、俺に笑って見せた。
「坂本くんはもうちょっとここにいる?」
俺はあぁ、と頷いて、「じゃあまた、」と歩きだした長野を見送った。
俺たちはまた、笑いながら、ときに泣きながら、
この世界で一生を生きていく。
井ノ原、お前は。
この広い、輝く空から、俺たちに与えてくれるかな。
俺たちが負けそうで、辛くて、悲しいときも、変わらずに。
その輝く、笑顔をさ。
空を見上げる俺の頬を、風が優しく笑うように、ふわりと通り過ぎていった。
SHINING SMILE 完
2011.8.13