第3話
「ただいま〜〜!!!」
4時近く。またまた小学生4人は、揃って元気よく帰ってきた。
すると、営業中にも関わらず博は4人の方へ走っていった。
「おっおいっ、博...」
「おかえり〜〜!! 4人とも早く宿題やっちゃいなね」
「「「ハーイ!!!」」」
「あっ、博君、俺、今から松岡と遊ぶ約束してるんだけど......」
「あーはいはい、わかった。じゃあ暗くなる前に帰ってきなね」
博は優しく快彦の頭に手をのせた。
すると快彦は嬉しそうに頷き、家を出て行った。
「おーい! 博! 早く戻って手伝え!!」
店の方から、焦った昌行の声が聞こえた。
「あっ、はいはーい! ...じゃあ3人とも、いい子にしててね♪」
「「「ハーイ!」」」
博はニッコリ笑って、店の方へ走っていった。
「まーーーつーーーおーーーか〜〜〜〜〜〜!!!」
快彦は公園で待っていた親友(悪友とも言える)、松岡昌宏に向かって突進した。すると、快彦に気づいた松岡も快彦に向かって突進してきた。
松「ヨーーーシ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
ゴンッ!!!
見事に激突。2人は地面に転げながら笑った。
松岡は、快彦が小学1年生の頃からの親友。快彦とは正反対に、バカだしちょっと乱暴だけど、快彦にとって無くてはならない存在だった。
松「ヨシー。宿題写させろ」
快「はいはーい」
これが2人のいつものやりとり。『遊ぶ』とは言っても、2人でしゃべりながら『勉強会』みたいなものをしているのだった。
その頃。
博「兄貴」
厨房に立ちながら、博は昌行に言った。
「兄貴は、よっちゃんの泣いてるところ、見たことある?」
「泣いてるところ...?」
博の急な質問に、正直昌行は戸惑った。しかし博は続けた。
博「うん。...俺は、ないんだけどさ」
さっき笑ってるのみて思ったんだよね、と博は言う。
昌行は少し考えてみた。
-----------------快彦が家に来てから、今まで。
昌「...俺も、ないかも」
すると、博はハァ...とため息を吐いた。
博「やっぱり、ないよね」
昌「......」
博「やっぱり原因、あるのかな」
博はあることを思い出した。