たまにはこんなこともあるんだね。
井ノ原くんや剛より先に、この人から連絡が来るとは。
嬉しいけど、意外。
末っ子サプライズ
7月2日。
今日は俺の32歳の誕生日。
この間まで「俺が30歳になったら…」という未来の話をしていたのに、30を越えてもう2年。
もうおじさんみたいだけど、今の俺は前よりも若返ってきたようだ。
うちの末っ子より下に間違えられるほど。
そんな今年の誕生日、例年と違うことが、一つ起こった。
朝6:30。
仕事が早い訳ではないけれど、目が覚めたから起きた。
ちょうど、そんな時間。
ブルル、ブルル、ブルルルル…
携帯電話のバイブが机を揺らした。
ディスプレイの名前を確認すると、予想外の人物からの電話。
俺は迷わず通話ボタンを押した。
「おー健くん?おはよー」
耳に届いた声は、大阪弁なまりが少し残った、うちの末っ子の声だった。
「おう、おはよー」
すると向こうはフフ、といつもの変態な笑い声を出して。
「誕生日おめでとお」
嬉しそうに言った。
なに、なんだ岡田。
いっつも自分のペースで俺や剛のノリには合わせないのに、何よ今日は。
嫌でもニヤニヤしている岡田の顔が思い浮かぶ。
…なんか企んでる?
そう岡田に聞けば、そんな訳ないやんと、やけに大きな声で言われた。
「いやーオレ、健くんが生まれてきてくれて嬉しいんよ」
それだけや、という岡田の声は、ウザくも嫌らしくとも優しくて。
「お前酔ってる?」
なんて疑い深く聞いてしまった。
違うわ、健くん疑い深いなあ。
「生まれてきてくれて、ありがとう」
そう一言残し切られた電話。
最後少し恥ずかしそうに出した岡田の声は、ウザくも嫌らしくも可愛かった。
Happy Birthday!! Ken Miyake!
32th years old.